『ドッカンぐらぐら』を見てきた。
中野のザ・ポケットで公演中の『ドッカンぐらぐら』を観劇してきました。
この公演はキャスト2~3名で、全公演キャストが違うと言うもので、『ガイナックス電波』でお仕事を一緒させて頂いている『松岡由貴&サエキトモ』の回を観劇してきました。
スタイルとしては朗読劇なんですけど、ただの朗読劇じゃ無い。
阪神淡路大震災の被災した小学生が、災害の1ヵ月後に書いた作文なんです。
『脚本』じゃ無い『作文』。
脚本は人に見せるのを前提に、演出意図を含めて計算されて書いているもの。
だから、役者は当然ながら脚本家や演出家の意図するものを汲んで演技をしていく。
演技をしていくからこそ『劇』と言える。
だけれど、小学生が体験したこと、感じたことを力強く書き残しただけの作文。
そこにはお涙頂戴だとか笑わせるオチなど入れているわけもなく、ただただストレートに感じたことを文章にぶつけただけ。
究極にソリッドな文章。
演出のじんのひろあきさんがアフタートークで「自分のイメージしたものを演出するのではなく、僕が何でコレをやりたいのかを役者に伝えて作っているから、キャストによって全部違うと思います。」と言っていたのが象徴されるように、この作品の登場人物にフィクションが無く全てが『本物』であり、大事なのはその『本物を伝えること』。
そもそも、作文として素晴らしいものが劇に向いているとは限らない。
と言う事は、劇として成立させるのではなく、伝えることを大事にした舞台だったのだろう。
だから僕はこの舞台を『ドキュメンタリー』だと受け取りました。
僕は関東人で、この当時はまだ学生でしたから被災していません。
むしろTVの中の出来事で、刻々と事態が悪化していく出来の悪いドラマにしか見えませんでした。
今までリアルタイムに発生した災害は他に、三原山の噴火や北海道南西沖地震、りんご台風、雲仙普賢岳の噴火、中越大震災などありますが、僕が直接被災した経験がありません。
三原山の噴火は非難してきた人が転校してきたと言うことがあり、中越大震災は新潟に縁があり親戚が多かったことで身近に感じることがありますが、阪神淡路大震災は絵に描いた出来事なんです。
だからこそ、ドキュメンタリーなこの舞台で感じるものがとても衝撃的でした。
恐らくは、被災者や近い人は痛いくらいの思いだったかもしれません。
もし『ドッカンぐらぐら』をこれから観に行かれる方は、演劇を観に行くつもりで肩肘張らず、ドキュメンタリーTVを観に行くくらいのつもりで『声に耳を傾けて』見て下さい。
変に演技力云々だとかプロの鑑賞家にならず、ただただ作文と言うドキュメンタリーを感じに行って下さい。
地震大国日本だからこそ、より多くの人に自身の怖さと人間の強さを感じて欲しいです。
今週日曜日(2011年1月30日)まで中野のザ・ポケットで公演しています。
出来れば30日の堀川さんの回も鑑賞したかったんですが、残念ながら東京に居ないので、もし行かれる方はご堪能下さい。
| 固定リンク
| コメント (217)
| トラックバック (0)
最近のコメント