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ちょっと偉そうなことをのたまいますよ。(7/6 0:57追記)

ツイッターで「ただ、割と気になることが多いんだけど…特に養成所とか専門学校上がりの人は、緊張もあるのかもしれないけれど、早すぎることが多いよねぇ。大事なのは速さじゃないッ!」とかってのたまったついでに、思ったことを書いて見ようかなって。

実績ない人がアレコレ言っても説得力無いと思うので、今回はボイスサンプルをちょいちょい収録させて頂いているので『ボイスサンプルを収録しての雑感』を書いていこうと思います。

別に役者の講師でもないですけど、もし刺さるものがあるかもってことで。

ボイスサンプルと平たく言っても、大きくセリフとナレーションに分かれます。

さらにセリフでは会話とモノローグ、ナレーションはストレートとキャラナレなどに細分化されます。
とりあえず『セリフ』と『ナレーション』の二つにわけて失敗例を書き上げていきますね。
現場で良いものを褒めるのは大事ですけど、テキストで伝えるには失敗例を書き上げた方が思い当たる人には刺さるでしょうしね。

なお、ボイスサンプルは半人前の人とかが多いので「え?そんなのが出来ないの?」ってのもあるかもしれませんが、実際体験してるんだからご勘弁を。

前提として

二つに分けると書いたのに、いきなりそれ以外の項目で失礼します(笑)
では早速…

・速すぎる

これはこの記事を書くきっかけになったツイートでも言及したことですが…
ボイスサンプルを収録する際には事務所に所属した役者ですら陥ることがあります。

気持ちはわかるんですよ。ボイスサンプルってのは短い時間で如何に自分を魅せるか、伝えるかってのが目的ですから、気も逸りますし、たくさん読みたいですよね。
解るんです。

…けど、快適なスピードよりも速くなってると安心感は無くなりますし、そもそも魅せたいボイスサンプルで安心感を失って価値はあるんですかい?

事務所によって時間制限が設定されてたり、目安時間が設定されています。
でもだったら、セリフを削ってでもたっぷり演じた方が良いサンプルになりますよ♪

・感情が乗ってない

セリフでもナレーションでも感情と言うのは存在します。
そしてそれが声に乗ってるのって無いってのは、判る人には判りますし、そもそも判らない人に伝わります。(※例外アリ)

俗に言う(?)「読んじゃってる」状態ですね。

でも、これも結局は「時間内に読まなきゃいけない」とか「噛んじゃいけない」とか「良い声を出さなきゃいけない」とかって雑念が強すぎて声を出すのが目的にすり変わっちゃった人が多いです。
もともと出来ない人もいますけど…それは流石に死ぬ気で頑張るか才能に見切りをつけましょう。

あー、あと出来ないにニアリーイコールかもしれませんが、台本を消化し切れてない場合もありますね。
自分で理解してないものを感情乗せろってのも土台難しいですよね。
ちなみに、理解したふりでも良いと思います。
頭の中に『?』が浮かんでなけりゃ、わりと大丈夫だったりしますから(笑)

…まぁ、収録後に答え合わせしてたら、誤解してたなんてことも…

・不安がってる

…解る!! 新人とか、デビュー前とか緊張するだろうし不安だろうね…

でも、役者なら不安全開でマイク前に立っちゃあかんて(笑)

出来る限り録音してるこちら側も気持ちをほぐす努力をしますが、不安で感情を乱されたら不安いっぱいな声しか録音出来ませんよ~。

マイクは恐ろしいほど正直ですから☆

・声を作りすぎ

不安の逆パターンですね(笑)

そもそもの話になるのですが、声優ってのは声色を変えて演じることが出来る人って言う誤解があると思うんです。
役者、演じることに本懐があって声色なんってーのはオプションでしかありません。

トーンの上げ下げを覗けば、人間なんて2パターン(地声+潰すとか)~5パターン(地声+潰す+裏声+喉を絞る+喉を広げる、とか)程度だと思うんです。

使い慣れて自由度が高ければ良いですけれど、飛び道具的なトーンは表現力不十分になりますし、結局無理をしたらした分だけの表現力なんですよ。

練習ならともかく、ボイスサンプルで入れる場合は自分の力量と相談しましょう。

セリフ

・会話になってない
・シーンをイメージしきれてない

二つまとめて!
この原因は一つなんですよ。
想像力の欠如や想像が甘い。

ボイスサンプルなんてワンシーンのさらに一部を切り取っている場合が殆どです。
ですので、書いてあるセリフからシチュエーションを自分の中で補完しなきゃいけないんですよ。

その時に相手の姿をきちんとイメージ出来てないと相手との会話のやり取りが出来ない。
相手の姿が無いから一方的に投げつけるだけになって、相手から受け取ってさらに投げ返すみたいな言葉のやり取りが見えなくなる。
そうなるとどうなるか。ただの独り言を言ってる状態で、セリフによっては痛い人ですよ。

あと、相手を想像したとして、どんなシチュエーションなのか。
それはシーンの前後を創造して膨らませないと感情を『引き継げない』ですよね。
だって、そのセリフ、物語の冒頭ですか?違いますよね?
なら、その前のシーンからの感情の流れってのが存在するはずなんですよ。
なのに、そこがしっかりしてないと感情が乗り切れないですよね。

些細なことですけど、それが出来てないだけで唐突感が出ます。

・全部ドヤ顔

滑舌を意識しすぎて声が出すぎてると言うか、感情ぶっとばして発声重視になっちゃうとこうなります。
滑舌は大事ですよ。とっても大事です。
だけど…口ごもったり、ふてくされたり、笑ったり、怒ったり、つまりは感情的になってるときに必ずしも綺麗な口の開きをしてるわけじゃない。
だからって滑舌が甘くなって良いわけじゃないですけど、外郎売をしてるんじゃないんだから。
発声練習してるときの自分の顔、当然見たことありますよね?
それ、ちょっと斜めから見たらドヤ顔に見えたりしませんか?

そーゆーことです♪

・モノマネ

こう書くと物まねすることが悪いみたいですね…

僕は基本的に物まねを推奨してます。
物まねをすることで得られるものは多いと思いますし、物まねが上手いってことは声の使い方やその対象の癖を見抜いて表現してみせることが必要ですから。

けど、ボイスサンプルにおいて露骨に物まねしても…まして、それが消化されてないものだとしたら、それは呑みの席での笑いネタにしなさいよって思います。

完成度が高い場合は良いと思いますけど「お察し」って程度の物まねは、その時間分無駄です。

・テンポや感情にメリハリがない

これはちょっと難しいものでもあるんですが…同じシーン、シチュエーションだとしても感情って基本的に動いてると思うんです。
それを大事にしないときちんと演じてるはずが読んでるように聴こえちゃうことがあります。

逆に言うとズルいテクニックになるのかもしれませんけど、感情や抑揚の「ゆれ」ってのが人間臭さなんですよ。
大きく見たら抑揚などゆれなくて正解かもしれませんが、聞く人は前後を含めた全景とか関係ないのですよ。

え?さっきは前後を含めた想像しろって言ったじゃんって?

えぇ、言いましたよ。
難しいもので、切り取ったものはバレるけど、その前後のノリシロは演技的に必要でも聴く人にとっては見えない部分なんですよ。

例えるなら…カットケーキを作るのにホールで焼く必要があるようなものってことで♪
ホールケーキのプレートがどんなに素晴らしくても、カットケーキにプレートが載ってなけりゃ見えないでしょ?みたいな?

・ブレスが甘い、もしくはくっついちゃってる

ネタ的に「ふつくしい」なんてのがありますが、これの正体はブレスが頭にくっついてしまい、あ行(母音)がは行(ブレスがは行の子音化)になってしまうんです。
他に「おまえ」が「ほまえ」とか「あんた」が「はんた」に、「お母さん」が「ほ母さん」に…みたいな。

ナレーションでも稀にありますが、はやりセリフで起き易いです。

ナレーション

・読んでる

ナレーションなんだから読むものじゃないの?って思いますよね。
ただ文字を読むのと、しっかり内容を理解して読むのでは違うんですよ。
極端な例を出すなら、小学生に音読させたもの。ソレが(殆どの場合)読むだけのもの。
稀に上手い子供もいるでしょうけど…

声に出すだけじゃ駄目なんですよ。
まずは書いてある台本を理解しましょう。

・ペースが一定

セリフでも書きましたが、ゆれがないと人間味がないんですよ。

もちろん機械的な雰囲気が合うナレーションってのも存在しますから、一概に駄目ってことではないですけれど…

・大事な部分が立ってない

生理現象のことじゃなくてですね…(エロゲとかエロ映画では、スタッフが立たない程度のものじゃ駄目だ!って声を大にして言うプロデューサーもいるんですよ)

ナレーションと言っても色々あります。
CMだったり企業ナレだったり番組ナレだったり…
でも、どのナレーションでも、何かを伝えたいわけなんですよ。
その伝えるべきものを立てるための組み立てってのが大事です。

文章そのものを分解して、なにが伝えたい部分なのか、その修飾部分がどこなのか、つなぎの文章なのか、そもそもその繋いだ部分は逆説で強調してるのか、補足しているのか、前振りなのか…

その結果、一つ前の『ゆれ』も生じてくるわけですけど。

・表情がない

これはセリフでもおきうることなんですけど、ナレーションでの場合が多いのでこちらで。

不安の部分で書きましたが、マイクってのは凄く素直で、場合によってはナレーターの表情すら見えることもあるんです。

悲しいシーンのナレーションなら悲しい顔をすれば良い。
楽しいナレーションなら笑顔で。
ナレーションで泣く事ってのはないかも知れないけれど、朗読とかなら泣け!ふりじゃなくて泣いてしまえ!(嗚咽で切り替え不可能になるフラグww)

セリフだと出来てもナレーションだとおろそかになる人いるんですよね。
もったいないよ、ホント。

応用編(?)

・トーン以外のキャラ付け

前提の最後で「トーンなんて数パターンしかない」と書きましたが、じゃあ実際七色の声の人はどうなんだ!!って言う方もいるかも知れません。
…いるのかなぁ? それはちょっとレベル低い気がしますよ。

ってのも、演技をする上でトーンの幅以上に大事なのが喋り方なんですよ。

抑揚だったり、テンポだったり、区切り方だったり。

例えばですけど「オネエっぽい喋り!」って言われたら恐らく想像する喋り方は同じようなのを思い浮かべてると思います。
独特な抑揚にちょっと大げさに芝居掛かった声の出し方、時々裏返りそうになったりフラフラしたトーン。
これだけで3つの要素が出てきましたね。
そのうち一つが芝居掛かった声の出し方。これが喉を広げて野太いか、喉を絞って女性らしさを出そうとしているのか、まぁバリエーション的にはその程度じゃないですか?

ふらふらのトーンはスパイス程度ですけど、明らかにキャラを決定付ける要素として『抑揚』だと思います。

婆さんや爺さんがかならずしゃがれた声とは限らない。
しゃがれてなくても年をとった風の演技も出来るんですよ。

…具体的な例は出さないでおきますね♪
そんなもん、自分で研究してください♪

・マイクにちゃんと入ろう

一応マイクってのは拾い易い位置に設置してあります。
ですが、座って録音しているときに、原稿を机において目線を落としているとき…そのまま顔も下を向いてたら、マイクから外れてしまいます!
経っているときはみなさんマイクの向きを気にするんですけど、座ったときにマイクの存在を忘れる人っています。
人によっては、下を向いた状態でマイクをセッティングし直したりしますけど…それでも、色々勿体無いですよね。
ってか、体勢的に声が抜けなくないかい??(汗)

・マイクの芯を食おう

マイクに関しては本来ミキサーさんがしっかりすべきことです。
けどまぁ、役者自身が把握してて損はないと思います。
ってか、リスクヘッジ?ミキサーさんがやってくれない可能性があるので。

そもそも応用なんてレベルじゃないので本格的には解説しませんが、役者自身が知っておいた方が良いのが『自分の声の一番美味しく響いてるポイントはどこか』を把握しておくと良いです。
口の正面が一番多いですけど、鼻腔に響かせてる人は鼻の先ぐらいが一番豊かに響く人もいれば、喉辺りから全身で響かせる人もいます。
前者は少しマイクを高く、後者はすこしマイクを離した上であごあたりを狙うと良かったりします。
そもそも、その一番美味しく響かせるときの姿勢なんかも出てくるので、棒立ちでセッティングするとマイクの芯がベストポジションから外れることがあります。

ミキサーを過信せず、自分のベストポジションに自分から入る工夫も大事ですよ。

これはボイスサンプルに限りませんが。

最後に

たぶん、一つ一つってのは意識したら出来ることで、目から鱗なことなんて書いてないんです。
けど、マイク前で出来なきゃ意味がない。

ボイスサンプルは役者によっての名刺です。
声優の場合もはや顔写真と同じくらいの価値です。

でも、実際の収録となると一人当たりの時間が決まっていて、多くは2分程度のボイスサンプルの収録で持ち時間20分~30分でしょうか。
そうなると、頑張って4テイクくらいが限界でしょうね。2分なのに。

そうなると最初に出来ないと立て直せずに終わってしまう人もいます。

それが嫌で個人的に僕にボイスサンプルの収録を頼む人もいます。

もう仕事バリバリしてる中堅の人とかは屁でもないことかもしれませんけど、ボイスサンプルを収録する前の意識の確認程度に♪

あと、家で練習するとき、録音して自分で聞きましょう。
読む練習しすぎてスラスラ読めて…読めすぎて早くなるとか、勿体無いww
あと、声に感情が乗ってなければ、いくら感情を込めて読んでも意味がないです。

だって、出た声、それだけがあなたの商品ですから。
過程(つまり、挑むまでの準備とか心構え)なんて1円の価値もありません。
それを認めてくれるのは、スタッフなどの関係者だけです。

今回書き出したものは言い方を替えたりしつつ、色々な人に言ってきたことなので、思い出して苦笑いしてくれる役者が一人でも多くいると良いな。
関わった人が一人でも多くこの世界で生きていますように☆

七夕も近いし、星に願いを込めて…

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