声優さんに声の仕事を依頼したい！と言う企業・同人サークル・個人さまへ

酔った勢いながら書くと宣言しましたところ、反響があったので此処に書き記しておこうと思います。

まず、大前提に声優を仕事で起用する為のプロセスを説明しましょう。

・フリーの声優にお願いする

フリーである以上は本人に裁量が任されるわけで、直接仕事窓口に連絡を入れて、駄目なら駄目、ＯＫなら請けて貰える……となります。
一番分かり易いですね♪
そして、この分かり易さと中間搾取（と言う表現は悪意がありますが……）が無いので本人にそのままお金が渡ると言う意味でも安心です（笑）
ただ一点……フリー歴が長くない人の場合はどうしてもレスポンスが悪くなります。
後述しますが、本人が判断すると言うけれど、それってなかなかハードルが高いので即座に判断出来ないことが多いんです。

・声優プロダクションにお願いする

多くのプロダクションは制作部を持っているので、そこでの判断になります。
判断基準は『信頼度』になります。（これは以後も一緒）
ただ、その判断基準が最も高いです。
そりゃそうです。所属タレントを守らなければならないのですから。
その為基本的にハードルが高くなります。
この防波堤こそが所属声優が事務所に手数料を払う要因ですから、事務所がＮＧと言ったら……次のパターンに進むのもありでしょう。
事務所が守る半面、個人的に受け付けたくないなぁって言う意思が半減以下になります。
それは『事務所が補償してくれているから』『何かあったら事務所が解決してくれるか』と言う補償の為です。
なので「駄目かもしれないなぁ」って言う人が案外ＯＫになったりすることもあります。

・イベント制作会社（イベントの場合）や音響制作会社（ドラマＣＤやアニメーションなど）にお願いする

正直一般的なのはコレです。
こちらの判断基準ももちろん『信頼度』となります。
しかし、声優事務所や声優本人が仕事を請け負う上においてはこの制作会社の信用度に依存をするので、人気声優などを起用する場合は直接事務所・プロダクションに依頼するよりも可能性がかなり上がる場合があります。
……場合と書いたのも、その制作会社の信用度に依存するので、絶対ではないのですが……
ただ、事務所に払うお金+制作会社の手数料が発生するので、当然ながらその分コストがかさみます。
そのコストは保険よか信用の又借りなので、そこをけちって欲しくないですが……と言いたいところなのですが、実はその『制作会社の信用度』の度合いで、直接依頼するよりも手数料込みで安く済む場合もあります！
何でかと言えば、実際にトラブルがあった場合に制作会社が声優事務所に対して『支払い』をするので、声優事務所としては保険的な『ふっかけ』をせずに済むからです。
つまり「ふっかけ＞制作会社の手数料」となれば、直接依頼するよりも安くなります。
そして、このケースが少なくないです。
……でも、声優事務所・プロダクションを「吹っかけ過ぎだ！」って攻めるのはお門違いです。
だって、役者を守るのが第一、役者を売るのが第二。
それが声優事務所・プロダクションですから。

これらを踏まえ、さらに突っついた説明をしていきましょうか♪

まず、事務所（面倒なので、以下『声優事務所・プロダクション』を『事務所』と表記します。『イベント制作会社』『音響制作会社』も『制作会社』と表記しますが、概ね『音響制作会社』としての感覚で書いています。だって。僕の仕事柄仕方ないでしょ？）に直接発注する場合、イベントなりアニメ・ドラマ・舞台なりで「制作会社が介入してるか」を確認される事がほとんどです。
当然です。
素人は何も業界の常識を何も知らないと言うのが前提になってしまいますから、その分ギャラを多く取った上で事務所側が手厚くフォローしたり、フォローの為の外注をします。
あとは、保釈金みたいに信用出来ない分ふっかけてハードルをぶち上げるのです。
そのために相場の10倍とか吹っかけるのは当たり前です。
それだけ素人現場と言うのはリスキーなのです。

「いやいやいや、自分はプロでは無いですけど、ネットとか知り合いからそう言うのを聴いてますんで」と言う人も稀に居るかもしれません。
そんなの信用して貰えません。
なんなら、実績の無い業界人は素人と同じ扱いになるので、自称・他称問わず、事務所側が信用出来ない人は全部素人扱いです。

そこで信用出来る制作会社やスタッフが介入してると分かると……保留した上で確認が行きます。
当然です。　繋がりが明瞭じゃなければ、信用保証として見なせませんから。
しかも訊く時は、そのクライアントが信用出来るかも訊きます。
そこで「んー、知ってはいるけれど……」なんて答えられようもんなら、吹っかけます。
断わってくれと期待しながら。

で、吹っかけても払うとなった場合はその余剰金で現場を整えるのです。

もしも、この信用関係も構築出来て、演出はもちろん制作進行も完璧に出来ると言うのであれば、直接出演依頼をするのは良いかもしれません。
けど、それほどの信用を得られる立場なら……まぁ、制作会社に依頼しますけどね。

でも、逆転現象もあり得るんです。
企業や公共団体で、地元制作会社に映像周りを依頼したけど、出演して欲しい声優をその会社ではアテンド出来ないと言われた場合は、直接お願いすることになるんです。
なので各事務所も、そう言うのを想定した上で保険をかけ、その保険の分だけ要求額が増えるのです。

制作会社に発注する場合、これらの信用関係が依頼者じゃなく制作会社に置き換わります。

制作会社の強みって何なの？って話になってくるのです。

うちら制作会社の強みよ言うか、そもそも演出だとか制作進行を請け負う上で必要上声優をキャスティング・ブッキングするから、直接お願いするよりも高い信用を得られるのです。
逆に事故った場合は、制作会社の看板が傷つくって言う簡単な話なのですけどね。

それらを踏まえ、基本的にはイベントを打つにしても芝居をして貰うにしても、その制作会社に運営・制作を発注した上で声優を依頼するのが一般的ですし、安全です。
その場合、全キャストを指名する場合予算がかさんだり、以後とそのものを断られる場合があります。
だって、出来ないもんは出来ないもん。

あと、制作会社に関しても受けてみた物の怪しいなって感じると自分達の報酬はもちろん、役者の報酬などもふっかけます。
それに気付いて、相場の金額を指摘して来た場合は、「面倒臭い」と判断してお断りします。

結論から言えば、事務所はもちろん制作会社も問い合わせに対して門戸を開いているので、可能性は小さくありません。
そして、相場と言うのがあるけれど、実質無効となりますので、それは予めご了承ください。

と、ここまで書いてきましたが「おいおい、肝心要の『信用度』ってなんやねん！」ってお思いだと思います。
もっとも実態が無いのに、根幹に影響しますからね。

それはもう単純に、『実績・名前の通り』と『裏側での信頼』に付きます。
駆け引きとして、その仕事を受けら上で次につながるかどうかって言うのが本音です。

「初めてお願いするのって無理じゃん！馬鹿にすんな！」って思う人もいるでしょう。

では、最後に『全くの素人が依頼する為のＴｉｐｓ』を書いて終わりにしましょう。

まず真っ先に多いのが『コネクション』。
業界信用度の高い人と別の機会で知り合いになって、なんなら酒を飲み交して馬鹿騒ぎした事があれば、それはもう『コネ』として成立する可能性が高くなります。

次に『報酬額を上げる』。
まぁ、「いくらですか？」と聞き「これくらいです」って返答があった時に、ノータイムで了承したら……カモ扱いですが、下手に粘らずに受け入れると信用度が上がります。
このやり取りで大事な事もありますが……そんなことは此処に書けないっすよー（笑）

そして『支払いをスムーズに』。
なんなら収録日が決まった時点で、請求書についてのお願いをして、その支払いサイトが近ければ、次には信用が上がります。
そもそもその場でなんとかしたい場合は、出演ほぼ確定時点で『前払い』も効果的です。

あと、なんだかんだと業界内でヒアリングをします。
過去にネガティブな要因があれば、その時点で駄目になる場合も多いので、あしからず。

さて、参考になりましたでしょうか？

最後に、制作会社の窓口として僕のＤＭを使って頂いてもＯＫですよ♪
その場合、僕なりにあなたの実績や発言を調べた上で、接点が見つかれば連絡を取って信用確認をします。
それはあなたを信用しないと言うよりも、事故って自分の信用を損なわないためです。

それらをクリアした上で僕自身が面白いと思えば、仕事をお受けします。
金額に関しては保証出来ませんけどね（苦笑）

そもそも相場額が役に立たない理由は、コレだからです。
同時に相場をご損じであれば、その差額が信用の低さの証拠と言えるでしょう。

最後に……相場より高いのが当たり前です。
ネタにされる相場なんて、テレビアニメとかその規模のイベント、もしくはガチの友達価格の情報だと思いますので…そもそもの信用度もそうですし、信頼されている会社間での金額がそのまま適用されるわけがないのですから。

なお、金額に合わせてレベルなどを調整した上でクオリティをより高くするために努力はもちろんします。
そここそが、本領発揮と言うか、この仕事における『信用度』を掛けた駆け引きですからね。

極端に安い提示の場合、後でトラブるリスクも抱えてるんですよ、と言うのを読み解けているなら、幸いです♪