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『朗読』の奥深さについて

みなさん、如何お過ごしでしょうか?

僕は2週間に1度しかスタジオに出向かない状態です。
ぶっちゃけ、移動時間が減っているはずなのに疲労感は倍くらいに感じます。
スタジオと言うのは良いものです……

この外出自粛にともない、多くの声優さんが『朗読』をみなさんにお届けしていますね。
人それぞれあって面白いものです。

最近では『朗読イベント』が増えてきましたよね。
朗読劇を主体としている劇団もありますし。
そして、僕の制作している番組『金元寿子と川上千尋のテラ娘屋』でもコンスタントに公開放送兼朗読イベントを行っています。

朗読と言うのは実に奥が深く、突きつめて行くとなんともまぁ難しいものです。
自由度が高いとも言えるでしょう。
正直正解が無いです。

今回は、そんな『朗読』の難しさと魅力を記事にしてみようかと思います。

 

そもそも『朗読』とは?
平凡社の世界大百科事典では「〈黙読〉に対して,文章を声に出して読むことを〈音読〉というが,ただ音声化するだけではなく,文章の内容を,正確に,印象的に,聞き手に伝えるように読むことを,〈音読〉一般と区別して〈朗読〉という。」(抜粋引用)とされています。

えらい具体的ですが……しかし、なかなか朗読をする人にとっては厳しい事が書かれています。
『正確に、印象的に、聴き手に伝えるように読むこと』

演出家として役者にアレコレ言いますが、それにしても朗読は難しいです。

目的は一つなんです。

『物語・作品』を、聞いてる人にしっかりとイメージさせること

これに尽きます。
その為の手段は問わないんです。

手段を問わない?
どう言う事?

……そう思う人も居るでしょう。
そう、手段・表現方法は広いんです!!

一番規模の小さい朗読は『お母さんやお父さんとかが子供にする読み聞かせ』
これも立派な朗読です。

小学生とか学生が教科書を音読するのと、子供に読み聞かせをする時、読み方が違うと思いませんか?
と言うか、「教科書を読んで」と教師に指を差されて音読する時に朗読をすると笑われてしまってトラウマになるかもしれません。

逆説的に言えば、イメージをさせるのではなく文字を読むのが『音読』であって『朗読』では無いんです。

読み聞かせの面白い話としては、自分の担当番組からの話しになりますが『森久保祥太郎・浪川大輔 つまみは塩だけ』の中で森久保さんがトークで話していた「子供に読み聞かせをするときに(声優としてのこだわりで)キャラクターの声を作ったら、こどもに『変な声!やめて!』と言われて注意された」と言うのがありました。

ある意味、朗読の失敗とも言えるお話なのです。
子供にとってキャラクターの声が変わる事は重要では無く、むしろ気になって物語に没入出来なかったと言う事なのです。
……とは言え、モノマネなどを挟みこんで子供の途切れやすい集中力に対して興味を引き続けると言うのも大事だったりするわけで、失敗はしても間違えていたわけではありません。

つまり、『相手が物語に引き込まれて、作品をイメージさせること』が絶対の正解であり、それが『朗読』なのです。

なので、先ほどから例に挙げている読み聞かせから始まり、舞台の演出も色々です。
台本を持ってスタンドマイクに突っ立って読んでも朗読ですし、テラ娘屋のように会話劇でラジオドラマの再現だって朗読ですし、台本がほぼ小道具でしか無く舞台のようでも朗読になります。

難しいところの一つが『台本の存在』なんですよね。
「台本が手元にあるんだから、それは舞台の立ち稽古みたいなもんじゃないか」と言う心無い感想が、わりとあったりします。
そもそも立ち稽古と朗読って見た目は似てるかもしれませんけど、演じてる役者としては全く別物なんですけどね。
もし、役者がこんな感想を言ってるとしたら、その人は役者なんかじゃないです。
断言しても良いです。役者ごっこをしてなりきっているだけの素人です。
もしくは、その朗読劇がよっぽど下手だったのでしょうね……読んで何も伝わらなかったら、それは立ち稽古と言われても仕方がありませんから。

そして、役者でもそうですが、それを企画している人が「楽だから」なんて思って取り組むと痛い思いをするのも朗読劇なんですよ。
舞台は色々な演出効果などが幾重にも重なり合い場の空気を作り上げて言った上で、動きや表情や立ち位置などもあって完成させていくものですが、朗読劇ではそれらを『読み』の力で引き出すのです。
なので、役者の表現力がモロに出るのが『朗読』でもあるのです。

つまり「簡単そうに見えるのに、実はシンプル故に誤魔化しなどが利かないのが朗読」なのです。

朗読の表現スタイルは実に色々!
そのスタイルにこそその役者やチームのカラーが出ると言っても良いでしょう。

なので、それぞれの表現の朗読を楽しんでみて下さい。
せっかくなら、積極的に自分でもイメージを広げようと能動的に聞いてみて下さい。
目を瞑ってリラックスして聞くのも良いです。

そして、その湧きあがるイメージを作り上げたり引き出したり調整したりするのが『演出』の仕事なんです。
本当に楽しいです、この仕事は♪
役者によって色が違ってて、でもその色を組み合わせて極彩色の景色を組み立てて行く……

朗読は良いぞ♪

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