演出家として

『朗読』の奥深さについて

みなさん、如何お過ごしでしょうか?

僕は2週間に1度しかスタジオに出向かない状態です。
ぶっちゃけ、移動時間が減っているはずなのに疲労感は倍くらいに感じます。
スタジオと言うのは良いものです……

この外出自粛にともない、多くの声優さんが『朗読』をみなさんにお届けしていますね。
人それぞれあって面白いものです。

最近では『朗読イベント』が増えてきましたよね。
朗読劇を主体としている劇団もありますし。
そして、僕の制作している番組『金元寿子と川上千尋のテラ娘屋』でもコンスタントに公開放送兼朗読イベントを行っています。

朗読と言うのは実に奥が深く、突きつめて行くとなんともまぁ難しいものです。
自由度が高いとも言えるでしょう。
正直正解が無いです。

今回は、そんな『朗読』の難しさと魅力を記事にしてみようかと思います。

 

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男女の違い

ちょいと小難しい事を書きたくなったので、お付き合い頂きたい。

演出をするにしても脚本を書くにしても、そして芝居をするにしても『男』と『女』は意識するものである。

もちろん、そんな単純に男と女で分けられるものではない。
人間というのは他の動物と違って思考(嗜好)で大きく変わるし、タイプ別に分けたところで中間的なところに存在する人もいる。

それこそ『個性』である。

ただまぁ、そう言うものを排除して『生物学的本能』だけで言えば、男女ではそれぞれの役割があり、その為の原則は存在するはず。

なので先手を打って逃げ口を用意させて貰うが、基本概念でしかなく、共感し得ない人に対して批難する為のものではないですし、そもそもがその手の専門家では無いので、正しいとも言えません。
あくまで僕がキャラやストーリーを綴ったり紐解いたりする時にベースとして人間の男女の基礎をそう考えてるに過ぎないのです。

 

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芝居における『間』の影響

今回言及したいのは『芝居の間』。
テンポではない。
いや、テンポも要素としてはあるんだけど……
複数の要素があっての『間』のお話。

要素は大きく3つである。


[間の広さ(長さ)]
一番の基本はこれでしょう。
じゃあ、どんな影響があるのか……

間がないと捲し立てられ、畳み掛けられる。
例えるなら、考えることをさせずに押し切る感じ。

逆に間がたっぷりだと、余裕を感じられ、理路整然としているように感じられる。
例えるなら、相手に拒否させない力強さがある。

前者は焦ってて、後者は余裕がある。
前者は馬乗りになってマウントを取りにかかってて、後者はねじ伏せに行ってる。
……そんな感じ?

[テンポ]
台詞にもテンポは存在します。
調整の前に、台詞とBGMのテンポが合致すると効果的ですし、外れていると取ってつけたかのような印象を与えてしまいます。
BGMに対して台詞を乗せるために間尺を直すことは少なくありません。
フリー音源の場合台詞のテンポに曲を合わせることもあります。

そして、以下はBGMが無い状態での話になります。

台詞がトントントンと淀みなくテンポ良く繋がっていれば、その人は迷い無く心底疑いなく喋ってる印象になりますが、トントンントントンとリズムが外れる感じだと、嘘をついているのか自信が無いような印象になります。

少しでもズレるとひっかかりが出てきますんで、場合によっては意図的にズラして空気を作ったりもしますし、収録時にハマりきらなかったものが編集時にテンポを整えるとグッと良くなったりもします。

[息]
ブレスが強過ぎたり、急ぎ過ぎてると、緊張感が出てしまうのを編集で小さくしたりカットしたりする事で印象が変わったりもします。
場合によってはブレスの差し替え素材を貰うこともあるくらい雰囲気に影響するんですよね。
しかし、収録時に声を出すために必要なブレスだったりするので、役者に「ブレスを浅くして!」と言いにくい場合もあるし、新人が緊張しててコントロール出来ない場合もあるんです。
そうなると編集のお仕事ですね。

大きくこの3要素が芝居における間を作っています。
ブレスに関しては息の芝居として独立して指示することもありますが、そこにテンポも大きく影響してきます。
(そもそも、息の芝居ってもっと大きい芝居の時に使いますしね)

BGMのテンポに関しては聞きながら収録してるわけじゃないので、当然ながらベテランの役者でも編集する事が当たり前にあります。
(だって音楽のテンポは直せないもん!)
しかし、良い役者さんの芝居って意識してるかどうか分からんですが、間やテンポも良い!
上手い下手が如実に出ると思います。

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芝居の演じ分けって、とても奥が深いなって話

ふと思ったのですが『ピッチを変えずに演じ分け』ってどれくらい行けるのでしょう?

演じ分けで一番分かりやすいのはピッチを変えてしまう事ですよね。
音の高低で差別化するのは、明確ですし。

ただ、落語なんかを見てるとピッチはそこまで差をつけなくても演じ分けが成立している。
もちろん、ビジュアル面で右向き左向きで表現していると言うのもありますが、音だけで聴いててもきちんと会話してるように聞こえるのだから、その点は作用として大きいわけじゃないんでしょう。

男性の声のような女性もいれば、逆も然り。

そうなると、音以外のキャラクター要素って実に多彩で、それらを駆使出来てこそ、声優なのかな?
……なーんて、最近ツイッター上で繰り広げられてた『声を変える問題』に対しての、自分の中でのそもそもの声の演技論だったりしました。

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人間の身体も楽器です

ツイッターで……

“声優、と言うか、人間の身体って本当に楽器だなぁ……と改めて思った現場だった。 本当に声優って仕事は奥が深いね。”
 
と呟いたところ、音響を目指している人などがイイネをしてくれていたので、時間が無いので殴り書きになりますけれど、ちょっと記事を書いておこうかなと思います。
 
要点で言えば、マイクに向かってしゃべれば良いってもんじゃないんですよって言う話です。
 

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偉人肖像画の落書きは笑っていいの?

コロコロコミックのチンギスハーンの落書きネタ問題が問題になってましたが……その反応の中に「これを笑ってはいけないのであれば、何を笑えば良いんだろう」と言う反応があり、ちょっと面白いなと思いました。

日本人は差別だとかに対して世界レベルで言えば意識が相当低いと言う意見があり、グローバルとか言うのであれば日本が変わる必要があると言う。
それに関しては反対はしません。
もっと勉強して良いと思います。
差別についてと権利について(著作権に飛び火w)

ただ、お笑いとしてブラックユーモアについてのネタにする手法だとかも表現する側・伝える側(芸人達やマスメディア側)ももっと勉強すべきでしょうし、受け手側がそれを知る機会が必要なのかなって思います。

あと、今回の件で言えば、子供は大笑いするでしょうし、子供向けであればアプローチとして間違えてない気がするのですが……商業誌でやると言うことについて考える必要があったのかなって僕は考えます。

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常に廃業に怯える日々

ツイッターのタイムラインで目にした一つの記事

ハガキ職人から放送作家、そして廃業へ。

細田哲也さんとは面識も無ければ、知らなかったのですが、なんと同い年じゃないですか!
38歳の廃業。
それは『僕のもう一つの姿』だった可能性があったわけで。

現在(株)MFSに所属していますが、その前まで22歳~34歳の実に13年間フリーランスで活動をしてて、何も後ろ盾のない状態に常に怯えてた……ごめんなさい、怯えては無かったですが、いつ廃業するかもしれないと言う事を念頭に活動をしてました。

だって干されでもすれば終わりですから。
業界の中のたかが1スタッフ。
アニラジくらいしか出来ていない、放送業界に従事してるとしたらとても脆弱な実績。
フリーランスのくせにラジオ大阪以外に特にコネも無し。

僕は常々考えていた事がありました。

「アニラジしか出来ない人は、いずれ消える」

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オーディションの不明瞭なボーダーライン(7/9のツイート群まとめ)

オーディションで、自分で採点してるのに申し訳なくなる理由の一つに『感覚が合わない』ってのがあります。
多分、当落ギリギリの時に僕じゃなきゃすり抜けるかもしれないのに×がついてしまった人は、すまん!って思いながら落としてます。

…じゃあ、その『感覚』とは?

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下手な芝居とマズいナレーション

久し振りに芝居論とか長々と書きたくなったので、暇な方はお付き合い下さい。

ありがたい事に最近は演出業として、オーディオドラマやナレーションもやってたりするのですが、やればやるほど自分の中での芝居論みたいなのが固まってくるんですよ。
そもそも趣味・志向も多分に影響する絶対的な正解のない世界なので、あくまで一つの意見として受け止めて頂ければ幸いです。

最近、また学生さんのオーディオドラマの収録を見る機会がありまして、その時に感じた事と、個人的に「??」って思ったナレーションを耳にする機会がありましたので、その切り口からの芝居とナレーションの差異を書き残そうと思います。

まず、前回の記事の発展系になるので読んでおいて頂けると。
http://radio-on.air-nifty.com/daily_kodaman/2017/01/post-314d.html

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『棒読み』の正体

内容としては、つまるところ『芝居の基礎のさらに前段階』だと思います。
けど、それすら出来ていなかったり、気付いて無かったりするのかなって。

状況としては、脚本を手に演じる、なので朗読ですね。

『脚本を見て、そこから作品世界をイメージして、それを表現する』って行程で発声するはずなのですが、中間のイメージが大事なのではないかと思うのです。
このイメージがしっかりしてれば演じられる。
イメージが適当だと「文字を読んでるだけ」になる、と。

当然のことながら、朗読なのですから映像はありません。
でもその声を聞いてその世界が広がる…のが理想です。
いや、理想と言うかそうあるべきものです。

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